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メディアへの寄稿履歴 顧客に向き合う

【2015年8月5日 南日本新聞 ”南天” 掲載】

もう30年近くになるが、鹿児島に帰って税理士を始める前は、東京で友人と作った会社を経営していた。吹けば飛ぶような小さな会社で、資格にも何にも頼らずに自力で頑張っていたのだ。この「自力でやる」というのは、事業を行っている以上、至極当然のことだと思っていた。

 またこの言葉は「顧客と真っ直ぐに向き合う」という意味でもある。まだ若かったが、事業を成り立たせてくれているのは顧客でしかない、という当たり前の事実を理解していた。
 
ところが鹿児島に帰って周りを見渡すと、必ずしも顧客と向き合うばかりでは済まないことに気がついた。特に税理士の場合、役所、業界、各種団体、地域社会等々、顧客以外にも気配り、目配りをしなければならない。資格に依拠している以上やむを得ないとはいえ、かなりのエネルギーや時間を取られることは間違いない。

 さてそこで、今私が考えているのは「原点に帰ろう!」である。昔そうだったようにシンプルに事業に向き合うのだ。「事業に向き合う」とは「顧客に向き合う」と同義語である。幸いさまざまな「役職」がほぼ終わり、かなり身軽になってきた。

 ただ、経営者には「顧客と向き合う」と言っても二つの役割がある。一つは既存顧客。事務所を支えていただいている現在のお客さんたちを大事にしなければならない。もう一つはまだ出会っていない新規顧客である。これはできるだけ出会いの機会を増やす必要がある。事務所の特徴や代表である私のことを少しでも理解していただきたい。そういった意図もあって、このような文章を書いたりしているのだ。これは社員たちにはできない仕事である。

顧客と向き合う、という原点を忘れていたわけではないが、他に時間を取られて少し回り道をしてしまった。東京で事業を起こしてがむしゃらに顧客に向き合っていたあの頃のシンプルなマインドで、再びチャレンジしようと思っているのである。