メディアへの寄稿履歴 フィフティー フィフティー

【2015年12月23日 南日本新聞 ”南天” 掲載】
先日、同級生で経営者でもある友人からこう聞かれた。「お前は提案型の仕事に積極的に取り組んでいるようだが、顧客に何か提案するのは80%、90%の勝算があってのことなのか」
私が「いや、そうじゃない。提案するときは、あくまでもフィフティーフィフティーだ。うまくいくかいかないかは半々でしかない。『成功の確率は』と問われれば、そう言うしかない」と答えた。友人は「えっ、半々の確率で相手は乗ってくるのか」と少し驚いていた。
先の展望が開けなくなったときにはっきり言えるのは、新しいことにチャレンジすれば生き残れる確率が50%生まれるが、現状のままで何もしなければ100%駄目になる。その時期が早いのか遅いかの違いでしかない。
私の提案に乗ってくるか、こないかは相手の決断次第だが、このままただ昔からの延長で経営を続けていれば生き残ることはできない。どっちを選ぶか、と顧客に聞いている。
いうまでもなく、これは事業における「経営革新」のことである。構造的な問題や環境の急激な変化によって、「改善」レベルでは事業が立ち行かなくなったときは、「革新」が必要になってくる。
「革新」が成功する確率はあくまでも50%である。しかし、社長が決断をしたならば、この50%の確率を70%、80%に上げていくサポートを全力でやる。われわれの立場ではそう言うしかない。「革新」の世界へ飛び込むか否かを決断するのは最終的に社長の仕事である。要は、経営者には「決断」が必要なのだ。「決断」してまず一歩踏み出さなければ、何も始まらない。
成功の確率を上げていくのはその後の問題である。会計事務所は成功の確率を上げていくためのお手伝いをすることができる。そのためのノウハウについてはさまざまに勉強しているのだ。経営者は「革新」も決断をしたならば、われわれを上手に使っていただきたい。