メディアへの寄稿履歴 コンサルタントの使い方

【2015年10月14日 南日本新聞 ”南天” 掲載】
少し前のインターネットニュースで「地方では『コンサルタントバブル』が起きている」と紹介されていた。国の地方創生の政策課題を受けて地方でも取り組もうとしたものの、大したアイデアが浮かばずコンサルタントに丸投げする事例が多いらしい。そのためコンサルタントが忙しくて数が足りない、という内容であった。
ニュースを読んで東京にいたころの仕事を思い出した。当時、自治体などから地域開発について市場調査の依頼を受け、データの集計だけでなく、提案まで含めてリポートを提出していた。自分たちのことを「コンサルタント」とは思っていなかったが、今考えるとそれに近い仕事をしていたことになる。
そんな内容の仕事をしていて、当時から思っていたことがある。それは「コンサルタントは使い方次第」ということである。市場調査の依頼を受けるときに肝心なのは「調査内容の具体性」だ。「これこれについての住民の意識やニーズを調べてくれ」という依頼内容がきちんと決まっていればいいリポートが出せるが、そこが曖昧だと報告もボンヤリとしたものにならざるを得ない。
私はコンサルタントの役割は、やるべき方向性やアイデアが決まっているときに、その内容が独りよがりになっていないか、どこか大事な見落としはないか、こうすればもっと良くなるというサブ提案はないか、といったことをチェックしてくれるものだと思っている。方向性やアイデアまで含めて丸投げするのは愚の骨頂なのだ。何が何でも最初のアイデアは自らが生み出さなければ始まらない。
冒頭のニュースでは、たちの悪いコンサルタントに使いまわしの企画を提供され、どこも同じような提案書になっているとも紹介されていた。これはもちろんコンサルタントだけが悪いのではない。もとは発注する側の無自覚や不勉強のせいということをもっと肝に銘じるべきなのである。