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メディアへの寄稿履歴 いつかなくなる仕事

【2015年9月16日 南日本新聞 ”南天” 掲載】

「10年後にはなくなってしまう職業」のリストを最近、オックスフォード大学の研究チームが発表した。のぞいてみると、レストランの案内係、レジ係、ネイリスト、建設機器のオペレーターなど、さまざまな業種が並ぶ。中には税務申告書代行者、簿記・会計・監査の事務員、データ入力作業員といった仕事も列挙されていた。ここに選ばれている職業には会計関係の仕事も少なくない。

ただ、この手のリストアップは今に始まったことではない。実は私も15年前、自分の業界の未来予想をシナリオという形で書いたことがある。2010年に2人のOLが過去を振り返り、以前はあったけど今はなくなってしまった職業について語り合うという筋だ。若い同業者の勉強会で、2人の女性税理士にそのシナリオを即興で読み合わせてもらった。税理士という仕事がなくなったらーという想定のシナリオを、みんな少し複雑な表情で聞いていた。

さて、そのとき私が想定した年はとっくに過ぎた今、税理士という仕事はまだ消滅してはいない。しかし安心はしていられない。想定したよりも延びたとはいえ、今度は私よりはるかに権威のあるオックスフォード大学が10年後は危ういと言っているのだ。

たまたま私の職業は生き残っているが、昔はあったけど今ではなくなってしまった仕事というのはいくらでもある。まあ、だからといって世の中のほとんどの仕事が姿を消すのかといえば、そんなことはない。大抵はその形を変えながら残っていくものである。

それでも、現代はこの「変化」のスピードと振り幅が大きいので、対応する方は大変である。それが現代の経営というものなのだ。そこのところを拒否すれば、時代に置いていかれるだけのことである。経営者の仕事は「常に先を読んで、変化に対応していくこと」と腹をくくれば。少しは気が楽であろう。いや、そうでもないか・・・。