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メディアへの寄稿履歴 「横並び」やめませんか

【2015年7月22日 南日本新聞 ”南天” 掲載】

先日、デパートに買い物に行ったら顔なじみの店員さんに話しかけられた。「プレミアム商品券買われました?」。一瞬何のことかわからず戸惑っていると、「今、下で販売してますよ」とのこと。そういえばデパートの入り口辺りに長蛇の列ができていた。「何だろう」と思いつつ通り過ぎたが、プレミアム商品券の発売日だったのだ。

人気も上々で、すぐに売り切れたらしい。このプレミアム商品券、割引率も高く売り上げも好調なのでケチをつける気など毛頭ない。しかし「ふるさと創生」事業をはじめ、地方の活性化が国是として進められている中で、毎度目立った活性化事業がこの「プレミアム商品券」だけというのも寂しい気がする。

メディアによると、今回も政府が交付金を配る際、プレミアム商品券というメニュー提示をしたら、ほぼ100%の自治体から実施する旨の計画が出されたそうである。国からの方針が出された途端、「他に出し抜かれるな」と、全国で同じことを実施することになった訳だ。

この「横並び」というのは、他も同じようなことをやるので一見リスクが少ないように見える。しかし、仕事を通じてさまざまな事業に関わってきたが、残念ながら他と同じことをやっていて業績が上がった事例を見たことがない。そもそもこれまでの事業モデルが通じなくなっている中で「過去からの延長」や「横並び」といった手法でうまくいくわけがないのだ。

「B級グルメ」や「ゆるキャラ」も全国一斉に取り組むとなると、もう差別化にはならない。もちろん一部成功もしているので、すべて悪いというつもりはない。ただ、そろそろ「横並び」というベクトルから「独自性」というベクトルに切り替えるべきではないのか。

他がやっているからやる、のではなく、他がやっていないからチャレンジする。このマインドと方向性に切り替えなければ、真の地域振興は実現しないと感じる。