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メディアへの寄稿履歴 「よそ者」と契約社会

【2015年10月28日 南日本新聞 ”南天” 掲載】

昔は地元の人と話していると、1時間に5,6回は「よそ者」という言葉が出てきた。最近はそれほどでもなくなったが、ネガティブな意味で使われることが多かったと思う。「『よそ者』は何を考えているか、何をしでかすかよくわからないから信用できない」といったニュアンスで使われていた。

私のお客さんで首都圏や関西などからこちらに来て事業を起こした方たちがいる。彼らは鹿児島の農畜産物にほれ込んで高く評価している。直接流通させたり、加工して販売したりすることで、地元経済に徐々に貢献し始めているのだ。彼らは、先述の地元意識でいえば、まさに「よそ者」ということになる。

実はその彼らが四苦八苦している。というのは、せっかく地元と取引の約束をしても、ドタキャンや数量不足、品質不良などが度々起きてしまうのだ。

先日もある社長さんが、約束していた農家へ受け取りに行くといきなり「モノがない」と言われた。「約束していたじゃないか」と詰め寄ったものの「ないものはない」とはねつけられたらしい。どうやら、より高値で買い取ってくれるライバルが現れて、そちらへ売ってしまったらしいのである。

こういう話を聞くたびに、がっかりすると同時に「ああ、この地域はまだ『契約社会』ではないんだな」と思う。仕事上の約束は普通「契約」という形で締結するが、地域的にはそういう商習慣がまだまだ根付いていない。「契約」となれば、それを違えたときには相応のペナルティが課せられる。一方、「契約は」自分自身の身を守るためでもあるのだ。

さまざまなタイプの「よそ者」ともコラボしていかなければ地域の発展はあり得ない。そのためには「口約束」であっても必ず守ることが信頼を築く第一歩である。それが「契約」という形で息の長いビジネスにつながれば「よそ者」は地域発展のための立派なパートナーとして認知されるに違いない。