連載コラム MCコラム第47話 自らの企業資産をどのように表現するか―表現方法には「静」と「動」がある― Ⅱ(おしまい)
つまり、SNSへの投稿やメディアへの出演といった活動が、「動」の販売促進戦略だとすれば、わかりやすくセンスいい会社案内や商品パンフレット、HPの最初に目に飛び込んでくるデザインなどは「静」の販売促進ツールとして重要な役割を果たすのです。
特に「動」の販売促進戦略としてのメディア活用は、瞬間的なインパクトは強いものの、その時々の一過性のものであり、それを見たり聞いたりした人の頭の中にそれほど長く残るものではありません。
その点、紙ものやHPは、それぞれの手元で見たい時にじっくりと見てもらうことができます。
したがって、これらに込められる情報発信の内容とその品質が、極めて重要なものであることは間違いありません。
デザインやコピーライトひとつ疎かにできない理由がここにあります。
また「静」と位置付けられる印刷物も、近年まめに更新することが求められています。
というのは、情報の変遷が早く、いつまでも在庫の古いパンフレットを使い回している訳にはいかないのです。
但しこの点も、昔に比べて対応がしやすい世の中になりました。
以前は印刷そのもののコストが高く、一度に刷るロット(枚数)については、その数が多いほど1枚当たりの単価は極端に割安になったものです。
しかし、印刷コストが下がった今は、小ロットで刷っても昔ほどの価格差はありません。
つまり、「静」の販促ツールである紙ものについても、ずっと静かに置いておくのではなく、必要に応じて頻繁に変化或いは進化させていける時代になっているのです。
一見「静」に見える印刷物なども、昔のように完全に「静」とはいかないのが現代の難しい所です。
こうやって更新された印刷物には、新たな情報発信の種(シーズ)が仕込まれているはずです。
それに対する顧客の反応を見つつ、次なる販売促進戦略をまた考えていくのです。
このように様々な媒体、ツール等を通じて、「静」と「動」の使い分け、更新、書き換えといった複雑な販売促進戦略を駆使しなければならないのが、現代の経営です。
しかし、何といってもその基となるのは経営者の情報発信に対する覚悟と姿勢です。
そのベース作り(私のコンサルティングでは「隠れ企業資産」の発見と発信)に関して怠りなく取り組まれることをお勧めしてやみません。
おしまい