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連載コラム MCコラム第150話 職人技と情報発信について―情報発信不足による機会損失はあまりにももったいない―

近年、日本の伝統的な職人技を取り扱ったテレビ番組が増えてきました。「和風総本家」などは、私がよく見る番組です。そのほかにも「ここが凄いぞ日本!」的な、日本の高い技術力や隠れた職人技などを紹介する番組があちこちで見られるようになったのはいい傾向だと思います。

 

これらの番組を見ていてつくづく思うのは

「ああ、自分はこんな優れた技やモノが日本国内にあったのに何にも知らなかったんだなあ・・・」

ということです。

人間、自分に直接関係のないようなことは、普通知る由もないので仕方のないところです。とはいえ、それにしても、足元にこんな優れた技術や伝統があったのに全く接点がなかったというのは残念なことです。

普通、職人技は直系の血族(普通は子供)や愛弟子(まなでし)といった人たちに引き継がれていくことが多いようです。しかし、修行にかかる年月や収入のことが障壁となってか、後継ぎがいなくて途絶えていく職人技などが増えているとテレビでは紹介していました。

 

ただ、そこそこ長く生きてきた私などがこれほど知らないということは、若い人たちなどもっと知らないわけで、こんな風にメディアに取り上げられるというのは、とても重要なことのように思えます。おそらく、優れた職人技の存在を知った若い人の中には「自分もやってみたい!」と思う人は、それなりの数いるのではないでしょうか。そういう意味では「情報発信」というのは極めて重要な意味を持ってきます。

 

後継者がいないというのは、その技の習得の難しさもさることながら、収入が上がらないということも大きな原因の一つでしょう。

「情報発信」を確実に行なうことによって、多くの人が知るところとなり、それが購買に繋がれば収入も上がり、後継者も引き継ぎやすくなるので一石二鳥ということになります。

 

しかし、ここで大きな問題があります。それは、職人さんは「情報発信」が極めて苦手だということです。というより、そんなこと考えたこともないのではないでしょうか。職人さんが、「情報発信」が苦手というのは何も日本に限ったことではないでしょう。外へ向かって自分の技を、仕事以外の方法で発信するなどということは、およそ彼らには考えられないことだろうと思います。

 

ただここで「ブランド化」という言葉が頭に浮かびます。優れた技術によって作られたものにさらにイメージ的な付加価値をつけて、総合的に高いレベルの商材に仕上げるという手法です。こういった手法に長けているのは、なんといっても欧米人といえましょう。彼らが常に追求する付加価値は、実際のモノ以上に高いイメージを、その取り扱う商品に付加していると思います。そして、その根幹を形成しているのは、彼らのプロモーション戦略の巧みさであり、それを如実に表現しているのが「広告宣伝」ではないでしょうか。おそらく、彼らが自らのイメージを高い位置で維持するために費やす販売促進費は、きっと半端な金額ではないはずです。

 

翻って日本ではどうでしょう。おそらく、ヨーロッパに負けないほどの職人技が国内に存在するにもかかわらず、プロモーションを巧みに駆使し、ブランド化に成功している企業は極めて少ないのではないでしょうか。ヨーロッパのように巨大企業に収斂されていくかどうかは別にして、日本的な成功事例があってもいいのではないかと思います。

 

それを実現する最も身近で現実的な手法が、私は「情報発信」なのではないかと思っています。

「情報発信」を押す理由は、おそらく職人さんの世界には「広告宣伝」は馴染まないだろうと思うからです。

「広告宣伝」のように、直接的に売り込むのではなく、その技や伝統、こだわり、思いといったことを「情報発信」という形で伝えていくのが相性的にも馴染むのでないでしょうか。

 

ただ、先述のように、それが苦手なのが職人さんの世界ですので、「情報発信」については、誰か「代行」する必要はあります。日本の中に、そういったシステムが出来上がることを望みたいと思います。

 

さて、さらに翻って「我が社」についてです。

これまで書いてきた「職人さんの世界」と同じことが言えるのではないでしょうか。

これまで「我が社」のこだわりや思い、歴史や伝統といったものをちゃんと伝えてきたでしょうか。ひょっとしたら、職人さんと同じような状況に陥っているかも知れません。

こちらから発信しなければ、「いいもの」も伝わらないのです。

 

「広告宣伝」は、「企業のイメージをアップする」とか、「この商品の売上を上げる」とか、明確な目的をもって実行されるものです。

こちらからのメッセージは鋭角的で明確です。

これに比べて「情報発信」は、もっとゆっくりと共有、共感を求めるものといえます。

角は丸く、強制的ではありません。

 

今回書いてきた「職人さんの世界」も、もっと世の中に認知される必要性を感じるのですが、それは「広告宣伝」によるよりも「情報発信」に託した方が、親和性が高いと私は思います。この考え方と手法を、これを読んでおられる経営者の事業にも応用してみては・・というのが私の提案です。

 

このコラムの読者は、職人さんに近いとは申しませんが、それほど大きくはない企業の経営者ではないでしょうか。だとすれば、派手な「広告宣伝」よりも、地道な「情報発信」の方が、自社の事業や商材のアピールには相応しいと考えられるからです。

 

日本には伝統的に優れた職人技だけでなく、いろいろと力量を持った企業が数多く存在します。

しかし、その多くが自らを正当にアピールしきれていません

それはとてももったいないことなのです。

そのアピールの手法としては、ネット社会という願ってもない環境が整備された今、「情報発信」を使わない手はありません

 

テレビでは世界が驚嘆する職人さんの世界が、様々に紹介されていました。場合によっては、御社の「情報発信」は世界が待っているかも知れません。遠慮することなく、「情報発信」の世界に踏み出してもらいたいと思います。

 

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