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連載コラム MCコラム第195話 社長の最も重要な仕事は高付加価値無形資産を作ること―この企業資産、なんと非課税!―

企業活動を長く続けてくると、その企業は多くの資産を形成することになります。

現預金はもちろんのこと、売掛金、商品在庫、土地建物などの施設装置、機械、什器、車両などの設備、所有する株式や投資債権など様々です。ところで、これらの資産はその形成過程においても、所有したあとでもなんらかの税金が発生します。

税金と無縁、全く非課税の資産など、企業を運営している限りあり得ません。

ところが、結論から申し上げますが、私の推奨する「情報発信(アウトプット)」によって形成された無形の企業資産は、その付加価値が極めて高いにもかかわらず非課税なのです。

この無形の企業資産を、こういう観点から評価されている経営者は少ないのではないでしょうか。

これまでにはっきりと認識されている無形の企業資産には、それまで培ってきた独自の技術やノウハウ、それを使いこなすことができる高いスキルの社員、蓄積された顧客リスト、そのネットワーク、地元での信用、ネームバリュー等々、といったものがあります。これらのすべてが無形の資産と言えましょう。

無形の企業資産は、マクロ的にはソーシャルキャピタル(社会関係資本)の一部と考えることもできます。そういった考え方は19世紀からあったようです。

その定義としては、
―社会の信頼関係、規範、ネットワークといった社会組織の重要性を説く概念。基本的な定義としては、人々が持つ信頼関係や人間関係(社会的ネットワーク)のこと―
となります。

これではちょっと範囲が広すぎますので、もう少し具体的に言いますと、フランスの社会学者ピエール・ブルデューが言っているように
―人間の持つ資本は、文化資本、経済資本、社会関係資本の3つに分類される。社会関係資本とは人脈である。社会的地位の再生産において、これらの資本を多く持つ人ほど、進学や就職において有利であり高い社会的地位につくことができる。―
となります。

これをさらに絞って、一般の企業活動に援用すれば、経営者の持つ「人間関係資産」ということになるのかも知れません。経営者の持つ「人間関係資産」が大きければ大きいほど、その経営者が手掛けるビジネスを、より有利な方向へ導ける可能性が高くなるのではないでしょうか。

こういった無形の資産は、企業運営上極めて重要なものであるにもかかわらず、原則非課税です。

企業はこういった無形の資産を駆使して、企業活動を継続することで、より大きな収益を上げていくことになります。

面白いことにといいますか、不思議なことに、課税される側(企業)も課税する側(国税庁)も普段この無形の企業資産を、課税の対象として明確に意識することはありません。

企業活動において極めて重要な資産であるにもかかわらず、「税」とは無縁の世界なのです。

このことは、考えようによっては企業にとって非常に好都合なことになります。

ということは、企業はもっともっとこの無形の企業資産の形成に尽力してもいいのではないかと思うのです。完全に非課税で、なおかつ企業の伸びしろに関して、極めて重要な役割を果たすであろう、この無形の企業資産を、多くの企業がそれほど明確に意識していないのは、むしろ不思議な現象と言えるのかも知れません。

ただ、このことは一般的にも少しずつ言われ始めており、各企業も無形の企業資産の重要性に気がつき始めているようです。

私はここで、冒頭で述べましたように、これらの無形の企業資産の中でも特にユニークといえる「情報発信(アウトプット)」によって形成された無形企業資産に関して提言をしたいのです。

ユニークな、と書きましたが、本来この資産はかなり強力な力を発揮しますので、できればユニークという位置づけではなく、より多くの企業にこの資産を持ってもらいたいと思っています。

この資産は、さらに具体的にいえば、これまで私が強く推進してきた「情報発信(アウトプット)」された様々なコンテンツをアーカイブしたもののことを指します。

企業経営者が自らの専門性や独自性といった、一般の人々が知り得ないような情報発信を続けていれば、それは徐々に蓄積されていくことになります。そしてそれは、様々な項目別に分類したり、整理することで、一定の価値を持ったアーカイブとなるのです。

これは誰にでも書ける一般的な記録や随筆のようなものとは違い、専門性、独自性の強いものといえましょう。決して多くの人々に必要とされることはないかも知れませんが、それを欲する人、或いは興味を持つ人にとっては、貴重な資料でありデータとなり得るのです。

企業は顧客から仕事を受注し、商材を納品したりサービスを提供し、その対価を回収することで、一つのビジネスを完結させます。このプロセスにおいて、良心的な企業であれば、できるだけ質のいい商材やレベルの高いサービスを提供しようと努めるはずです。

この受注した仕事を完結させる一連の行為を、私はビジネス上の無形の1次資産と考えます。

そして、そのビジネス行為を何らかの形で整理記録して情報発信すれば、それは無形の2次資産となります。

顧客にできるだけいい仕事を提供するのは当然のことですが、そこで何らかの発見や気づきがあった場合、それを一つのサンプルとして記録保存し、専門的な見解等を加えて情報発信すれば、それはその顧客以外の人にとっても極めて有用な情報の一つとなり得るのです。これが量的に積みあがってくれば、それは立派な無形の企業資産となるのではないでしょうか。

この無形の企業資産は、提供される情報として興味深く面白いというだけでなく、やがて一つの販売促進ツールとしての機能も発揮します。

「情報発信(アウトプット)」が継続的に行なわれることで、経営者のキャラクターや企業の特徴、姿勢といったものがそれを読んだり見たりした人に浸透し、一種のロイヤリティ(忠誠心)を形成するのです。

ネガティブな意見表明ややたら批判的な切り口といったことをできるだけ控えるように心掛け、専門的であるが故の面白さや、普通では知り得ないようなエピソードといった内容のものを伝えれば、それはほぼ肯定的な支持をもって迎えられます。大して興味がなければスルーするだけで、踏み込んで否定的な対処をされることはまずありません。この企業資産は場所を取ることもないので保管費用や在庫リスクといったこととも無縁です。

また、この無形の企業資産は、様々な転用が可能です。

業界紙や一般紙への投稿もできますし、雑誌などへ出稿するチャンスを掴むこともできます。そのほかに何らかの原稿依頼等があったとしても、慌てることなく応えることが可能になります。私の場合、毎月ラジオの生放送番組を担当しているため、そこでしゃべる元ネタとしても使っています。テレビに出演の機会などあったとしても、その番組に相応しいネタを探し出してくることができます。

この2次転用まで行くことができれば、情報発信アーカイブは、充分に活かされたことになるのです。

「情報発信(アウトプット)」は、それを続けている時点で、それなりの効果を発揮するのですが、それが積みあがって一つの集積となったとき、それはもうその企業にとって大きな無形の資産を形成したことになります。それは先述しましたように様々に転用することも可能ですし、その企業が歩んできた道筋の振り返りや、今後の行く末を予測する上でも貴重な資料となります。

例えば私の場合、以前のアーカイブを振り返ってみますと、これまでにかなり解決できた課題もありますし、いまだに積み残している問題点などにも改めて気づかされます。

積み残している、というか変わらない問題点として、地域の意識が一向に進化しない、という点などが発見できるのです。私は、これらの課題については、将来に向けてこれまでとは違う手法で臨むことを考え始めています。

といったように、この無形の2次企業資産は、振り返るための資料としてだけでなく、様々な形での転用が可能であり、それは企業活動にプラスの作用を及ぼします。

まだ多くの企業に明確には意識されていない、この無形の2次資産、是非その形成に取り組まれることをお勧めします。

 

情報発信された様々なコンテンツは貴重な資産