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連載コラム MCコラム第85話 社長のメディア登場は知的イメージ形成の第1歩―情報発信の持つもう一つの効用―  

 

 

私はラジオや新聞に番組を持ったりコラムを書いたりしていますが、そうするといろいろな印象を他人に与えているらしいことに気付かされました。

ときには、自分が思ってもいなかったような感想を言われることがあります。

 

先日、ある若手経営者と話をしていたら次のようなことを言われました。

「こんなこと(ラジオ出演や新聞への出稿)ができると賢そうに見えますよね。あ、失礼しました。先生のことは賢いと思っているのですが、こんなことができれば、自分もそんな印象を他人(ひと)に与えられるかなあ、と思って・・・」

というようなことを言われたのです。

 

私は、自分の専門分野である中小企業の経営支援について、ずっと色々な形で情報発信してきました。それにはSNSを利用したり、上記のようにマスメディアを通じて発信したりというように、採用してきた手段は様々でした。

そんな中で、今回言われたように、マスメディアへの登場が知的イメージを与えるというのは少し意外な感じがしたのです。

 

というのは、上記のように自分の専門分野のことですので、それについてしゃべったり書いたりできるのは当たり前だろう、と思っていたからです。ただ、そのしゃべったり書いたりすることについては、人によって若干の得意不得意があるので、そこの差において、できるとかできないとかの違いがあるだけなのだろうと思っていたのです。

 

しかし、前述の経営者の言葉を借りれば、そのこと(マスメディアへの登場)が、少なからず「知的印象」も与えているのだ、と気付かされました。

もしそれが本当だとすれば「情報発信」というのは、また違った意味を持ってきます

それは、経営トップが知的であるというのは、プラスになりこそすれマイナス働くことはまずないからです。

 

日本の場合、その人が知的かそうでないかというバロメーターには「学歴」というものが大きく影響します。東大をはじめとする一流大学の出身者であれば「この人は賢いのだろう、きっと。」とは誰もが思うところです。

 

しかし、この基準は昔に比べればかなり崩れてきているのではないでしょうか。

例えば芸能界などを見てみれば一目瞭然です。「おバカタレント」などと揶揄されながら人気の出たタレントが、結構しぶとく業界に生き残って、やがて一定のポジションを確保し、昔「おバカ」だったことなど忘れられてしまっている、といった現象はよく見られる光景です。

 

逆に東大や京大など難関大学を出たタレントやアナウンサーなどが、クイズ番組では、そういったカテゴリーに仕分けされて重宝されています。そして、「さすが東大!」とか「東大なのにわからないの?」とか、「学歴」は一種の記号のような扱いを受けたりしているのです。

 

つまり、何を申し上げたいかというと、現代は多様性の時代、ということです。

何も、知性の代表は「学歴」だけでは決まらないということなのです。

「オタク」と呼ばれるくらい、ひとつの分野に際立って詳しければ、それはそれで充分評価の対象となるのです。

 

そういった評価でいえば経営者というのは、自分の専門分野の言わば「オタク」の権化のようなものです。他の一般人よりも、自分の所属している仕事に関しては、はるかに詳しい存在なのだといえるでしょう。

 

問題はその専門性をどう伝えていくか、ということです。経営者はタレントではないので、なにもそれを面白おかしく伝えていく必要はありません。

極めて真面目に、しかしわかりやすく伝えていけばいいだけのことです。

 

何らかの形でメディアに登場し、自分の専門性を伝えていく・・・ それだけで知的に見えるとすれば、自らの事業にとってこんなプラスになることはないのではありませんか。

 

というのは、知的であるということは、尊敬の対象になり憧れの存在となり得るからです。他者にとって、その人の話を聞きたい、できることなら接点を持ちたいという存在になります。そういった印象を与えることができれば、営業に関してはもう半分終わったも同然です。リスペクトされ一目置かれている訳ですから、こちらの言うことはノーチェックで聞いてもらえることになります。

 

経営者の情報発信というのは、ツボにはまればそれくらいインパクトがあるのです。

情報発信というのは面白いもので、それを続けていれば情報発信のやり方だけでなく、自らの専門性についても磨きがかかってきます。

それはおそらく情報発信には責任がともなうということと、注目されることで「もっとレベルを上げなければ・・」と、自分をいい意味で追い込むことになるからです。

 

一石二鳥も三鳥も想定される「経営者の情報発信」、多少の方法論、テクニックなどもありますが、是非真剣に向き合ってみて下さい。