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連載コラム MCコラム第250話 社長「想像力」を働かしていますか―これからの経営はイメージする能力が問われる時代―  

 

極めて変化の激しい現代社会において、もっとも大変な思いをしている社会的ポジションは何でしょうか? 

子供?学生?主婦?OL?サラリーマン?・・・それぞれに難しい課題を抱えていると思います。

しかし、何といっても大変なのは「経営者」ではないでしょうか。

子供にしても学生にしても、立場上、一応自分のことを中心に考えていればそれでいいと思います。全く他者のことを考えなくていい、というわけにはいかないでしょうが、原則、自分中心に考え、行動しても特に大きな問題が起こることはないでしょう。

 

しかしながら、経営者となるとそうはいきません。自分個人のことよりも、いろいろと他者に対して、はるかに多くのことを配慮していかなければならないからです。取引先、従業員、会社、商売そのものについて・・・配慮しなければならない対象を上げていけばきりがないくらいです。

おそらく、経営者というのは他の社会的ポジションに比べて、はるかにいろいろなことを考えなければならない立場なのではないでしょうか。

そんな特殊なポジションにある経営者にとって、最も必要な資質というのはどんなものになるのでしょうか。

 

この答えはいろいろと考えられます。経営者ともなれば、他の大多数の立場の人間よりは、はるかに多様な資質が必要とされるからです。

私はその中で特に重要なものに「想像力」があると考えています。

冒頭、極めて変化の激しい現代社会・・・と書きました。この変化の激しさは、特に経営者にとって厳しいものとなります。過去と同じことを同じように繰り返しやっていたのでは、たちまち時代に取り残されていくからです。

常に、目配り気配りを怠らず、時代の変化を敏感に感じ取って、できるならば、少し先手を打っていくくらいが、経営者に課せられた大きな課題と言っていいでしょう。

 

さて、そうなると必要な資質というのは何になるでしょうか。時代がどう変化するかといったことは、誰かが親切に教えてくれるわけではありません。経営者は、自分で感じ取って、自分で手を打っていかなければならないのです。そのために最も必要な資質が「想像力」ということになります。

何か参考書のようなものを、読んだり見たりすれば回答が書いてあるわけではない、とすると、自ら「想像力」を最大限働かせて、先を見通していくしかないのです。

 

ところでこの「想像力」というのは、かなり意識して働かせるように習慣づけないと、身につくものではありません。というのは、日常のルーチンワークは、特にそんなものを働かせなくても、なんとなくこなしていくことができるからです。しかし、先を読んで的確な打ち手を考えていく、或いはそれを実行していくとなると、日常、流して済むような仕事のやり方からは生まれてきません。

かなり意識してそういったテーマに向き合う必要があるのです。

 

ところでこういった「想像力」というのは、どうやれば身につくのでしょうか。どんな風に磨いていけばいいのでしょうか。

ここでベースになるのは、なんといってもインプットです。

そもそも様々な情報をインプットしなければ、先を読むための材料が手元に存在しないことになります。

インプットに関して、ここでは特に細かいことを申し上げることはしませんので、経営者の方はそれぞれ自分にあった方法で身につけてもらえればいいと思います。

 

ここでさらに申し上げたいことは、インプットは当然のこととして、何かもっと「想像力」をつけるための効率的なやり方はないか、ということです。インプットにプラスして、何か効率を上げられる「方法論」のようなものはないのでしょうか。

その「方法論」の一つとして考えられるのが、私が常々申し上げている「情報発信(アウトプット)」なのです。

誰もが考えつく「インプット」に加えて、「情報発信(アウトプット)」をすることによって、「想像力」を養うためのスピードが格段に増すのです。ここで「インプットはわかるけれど、「情報発信(アウトプット)」が何故「想像力」を養うことになるのだ。」といった疑問が湧いてくるかも知れません。

 

その疑問に対する回答が次のようなことになります。

それは、「情報発信(アウトプット)」という行為そのものが「想像力」を働かせることになるので、いい訓練になる、ということです。

いつも申し上げていることですが、インプットしたものを咀嚼し我がものとして、アウトプットするまでには、その前に、頭の中で理解し整理して、構成までしなければなりません。そこまでのプロセスを踏まえた上でなければ、「情報発信(アウトプット)」はできないのです。そのプロセスにおいて「想像力」の必要な場面がたびたび登場します。

つまり「想像力」プラス「創造力」がなければ「情報発信(アウトプット)」まで到達しないのです。

 

こういう理由によって、現代経営に不可欠ともいえる「想像力」は、インプットに留まることなく「情報発信(アウトプット)」することによって磨かれるのです。

現代経営において「想像力」が必要なことは、理解されたことと思いますが、そのために「インプット」のみならず、「情報発信(アウトプット)」が極めて有効な手段、というところまでは、なかなか誰も思いつかないし、言う人もいません。

相変わらず「情報発信(アウトプット)」を戦略的に行なっている人は少数派です。

今これを実践すれば、確実に「差別化」が実現できます。多くの経営者がチャレンジされることを望みます。