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連載コラム MCコラム第243話 社長、他人(ひと)がやっていないことをやらなければ勝てません―ゲリラ戦が通常戦になる時代―  

 

私が手掛けているこのコンサルタント事業は、私を含めて3名体制で取り組んでいます。もう一方の事業である会計事務所は20名体制。規模的にはコンサルタント事業は零細なもので、会計事務所も中小企業です。これくらいの規模の事業が市場で戦っていくには何が必要でしょうか。

 

それを考える前に、先日、会計事務所の方のミーティングで次のようなことがありました。

私は、次世代の情報発信媒体として「ユーチューブ」の導入を図っていました。

もはや「ユーチューブ」は、かなり普及しているので、「次世代の情報発信媒体」とまではいえないのかも知れません。

 

しかし、私の業界にしても地域にしても、まだまだ事業に取り込む人が少ないため、広報や広告宣伝分野においてこれから伸びる可能性の高い媒体として私は捉えています。

「ユーチューブ」は今のところゲリラ戦的な意味合いが強いかも知れませんが、もっと普及すれば、やがて、通常戦に格上げされる可能性もあると思っています。

 

ただ、事務所ではこれまで10本ほどの動画をアップしてみましたが、再生回数はほんの2ケタで全く伸びていませんでした。社員の中には「こんな効果のないものはやめてしまいましょう。」という空気が流れています。「結構手間がかかる割には、何の効果も見られない。」というのです。ただこれは、私には織り込み済みのことで、10本やそこらアップしたところで、なんのレスポンスもないだろうということはわかっていました。

 

とはいえ、この10本を作成するのも結構大変だったので、このままでは費用対効果の面でメリットが見られない、というのが彼らの言い分です。その中で出た意見に「こういうことに時間とエネルギーを費やすよりも、税法や会計の勉強をした方がましだと思うんですよね。」というものがありました。ほかのスタッフも同様の意見のようです。

 

しかし、私はこれにはカチンときました。こういうやりとりは、昔から或る意味、古典的に行なわれてきたともいえます。

そもそも本来やることがあるのに新しいことに取り組むのはいかがなものか、という意見です。

これは私の業界に限らず、よく言われるところの見解です。こういった意見はいかにも正論のように聞こえますし、また確かに正論でもあります。ただ、これは私に言わせれば「当たり前」のことを言っているにすぎません。

 

というのは、この職業(会計事務所)に就いていれば、それらの勉強をするのは当然の話です。これは私の事務所に限らず、どこの事務所も努力していることでしょう。

したがって、そこだけに注力したならば、「他と同じことをしているに過ぎない」ことになります。

 

またこれは「内側」で行なわれる努力であり、顧客からは全く見えるものではありません

おそらく顧客は「あなたたちは専門集団なのだから、そんなこと(専門的な勉強をすること)は当たり前だろう。」くらいにしか思っていないでしょう。つまり、大事なことではあるのですが、踏み込んで顧客にアピールするような内容のものではないのです。

 

そしてこれは、未来に対する努力です。

これから力をつけて行かなければならない、という話なのです。これは現時点の顧客の現状からすれば、特に何の影響も恩恵も受けない話になります。

 

これに対して私が勧めようとしている「ユーチューブ」を含んだ「情報発信(アウトプット)」は、「内側」に対するものではなく「外」に向かってのものです。

直接、顧客や顧客候補に向かってアプローチするものなのです。

 

それからこの試みは、基本的かつ直接的には未来形のものではありません。

これまで蓄積したノウハウや専門性をお伝えして、現在進行形の顧客の事業に役立ててもらおうというものなのです。

というのは、こちらが蓄積してきたこれらのコンテンツが、あまりにも世間に知られていないので、もっと前のめりに踏み込んで伝えようという試みなのです。

 

つまり、将来を見据えて、これからいろいろと勉強したり研鑽を積み重ねて実力をつけて行くということと、既にこれまで培ってきた様々なコンテンツを外に向かって積極的にアピールしていくというのは、全く別物になります。限られたマンパワーやリソースの中で、どう取り組むのか優先順位をつけるのか難しい問題ではありますが、どちらも企業活動を支えていく上では欠かせないものなのです。

 

ただ、私がこれまで見てきた限りでは、日本の企業、特に地方のそれにおいては、上記のうち後者の「対外的なアピール」があまりにも疎かにされてきました。

それは私が度々述べてきましたように、地縁血縁社会における顔パスビジネスモデルで成立していた時代が長すぎたからにほかなりません。どっぷりとこのモデルで運営されることが当たり前の時代には、対外的に強くアピールする必要はありませんでした。逆にそんなことに積極的に取り組むことの方が、むしろ白い目で見られていたといってもいいでしょう。地方にはまだその意識が根強く残っていることを度々感じます。

 

さて、話を冒頭の中小零細企業が現在の厳しい市場で戦っていくには何が必要か、という課題に戻しましょう。

それは、私は「他人(ひと)がやっていないことにチャレンジしていく。」ことだと思っています。

といったわけで、効果がなさそうだからユーチューブによる情報発信はやめませんか、という社員の提案は却下しました。効果があるかないかが判定できるほど、まだちゃんとチャレンジしていなかったからです。

 

先述しましたように、自身の仕事に関して勉強したり研鑽を積むというのは、内なる努力として当たり前のことです。それは、誰もがやることなのです。

これに対して、総体的な企業活動そのもので勝っていくには、他者がやっていないことにチャレンジしていくしかありません。

他者と同じようなことだけをやっていたのでは、規模や立地などの点で有利な方に負けてしまいます。

 

そんな中で、私が自らも実践し、顧客にも強力にお勧めしたい新しい試みが「情報発信(アウトプット)」なのです。

中でも「ユーチューブ」は、新しい発信方法であり、ビジネス上のコンテンツを整備して、発信まで実践している人はまだ少ないといえましょう。

 

これまでも度々申し上げてきたことですが、今だったら、「情報発信(アウトプット)」に取り組む人はまだまだ少数派です。

少数派ということは、差別化が可能ということにほかなりません。

中小零細企業は、意図的にこういった他人のやっていないことにチャレンジし、一歩抜きんでなければ、おそらく生き残ることはできないでしょう。

 

他者がやっていないことにチャレンジして、差別化を図り、抜きん出た存在になる、このシンプルかつ王道のやり方に挑む必要があります。

そうすることで、自らの事業の存続と発展を図っていく。

これが、これからの中小零細企業に与えられた使命であると私は考えます。