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連載コラム MCコラム第225話 情報発信全盛時代の社長のスタンス―パーソナルメディアとマスメディアの混合体制を創造する―  

メモ風景

 

 

 

 

 

 

近年、小学生に「将来なりたい職業は?」と、アンケートを取ると、1位に「ユーチューバー」が選ばれるそうです。

我々大人からすれば、随分時代も変わったものだ、と驚きを禁じ得ません。

とはいえ、実際、芸能人などのユーチューブへの参入は日ごとに増えており、今や、一億総情報発信時代といっても過言ではなくなりつつあります。

一方、テレビや新聞など従来のマスメディアは旗色が悪いようで、年々その聴取率や発行部数を減らしています。

世の中は次第にマスメディアからパーソナルメディアの時代に向かっているのでしょうか。

 

もちろんその流れは大きいのですが、ここは冷静に見ていく必要がありそうです。ときどき、テレビ番組でユーチューブの面白動画ばかりを集めたものが放映されたりしています。私は、当初テレビがああいう番組を作らざるを得なくなったのは、ネタに困ったテレビのネットに対する敗北宣言に等しいのではないかと思っていました。

 

とはいえ、今やああいった番組もすっかりテレビの世界に定着してしまいました。ですから、私のような疑問を抱く人も、もうそんなにいないのでしょう。ともかく、世界の珍しい映像や面白動画を集め編集したものが、ひとつの番組として成立しています。そのためか、ユーチューブといえば、ああいう世界観なのかと誤解しそうですが、ネットの世界をよく見てみると、発信されているコンテンツにはいろいろなものがあるようです。

 

つまり、偶然撮られたユーモラスな映像とか、ハプニング的な動画だけではなく、意図的に作られた制作物などを含めて多種多様な情報がひしめいている、まるで情報のテーマパークのような状況といえましょう。私がよく見るのは、やはりビジネス系のもので、私自身の経営やコンサルタントとしての知見を広めるのに役立ちそうな動画が多くなっています。

 

そんな中、最近発見したのは「本要約チャンネル」という動画サイトです。

ここには何人かの読書好きのメンバーが登録しているようで、それぞれ自分の読んだ本について10分から20分くらいの短い時間で解説するというものです。読書感想文のネット版といった体裁のコンテンツになっているのです。

 

読んだ本の要約をしゃべるだけですから、あまり動画には馴染まないような気もしますが、レジュメや写真、アニメなども一緒にあげているので、結構苦労して制作している様子も想像できます。アップされるペースや内容の濃さから考えても、発表者はかなりの量の本を読んでおり、それを分かりやすく解説するための分析や資料作りなども大変なのではないか、と思います。

 

メンバーは、年齢的にはまだ若い人たちのようで、動画の特徴は、とにかく早口であるということです。おそらく、かなりのボリュームの内容を、短時間で伝えなければならないため、あんな早口でしゃべらなければ間に合わないのでしょう。そのしゃべり口は、私など到底真似できないほどのスピード感です。彼らもユーチューバーの一種でしょうから、人はそれぞれ得意な分野で、パーソナルメディアの発信者として、しかるべきポジションを獲得しようと必死なのだなあ、と或る意味感心させられます。

 

こういった人たちを見ていて侮れないと思うのは、先述の「本要約チャンネル」のメンバーの場合、「読む力」「まとめる力」「書く力」「読み上げる力」「発信する力」といった要素が必要であり、それを何とかこなしているということです。こういった力量をバランスよく持っていなければ、自分の発表チャンネルを維持することはできません。そういった意味では「情報発信(アウトプット)」ということに対して、かなり真剣に向き合っているといえます。

 

ここで何を申し上げたいのかというと、今や素人でもこれほどの情報発信力を発揮しているということです。

極論かも知れませんが、社会的ポジションもあり、発信すべきコンテンツも豊富な経営者が、もはやこちらからなにも情報を発信しないことなどありえない、といった世の中になっているのではないでしょうか。

 

おわかりでしょうか。ユーチューブのようにほぼ個人単位で、しかも後づけで無理やりコンテンツをひねり出してでも「情報発信(アウトプット)」をしたい、といった人間が多く存在する時代なのです。

それは、一つにはそれが技術的に可能になったということと、うまくいけばビジネスとして成立するようになった、ということが背景にあるのではないでしょうか。

有名人などの場合、露出度を維持するため、といった目的があるのかも知れません。

つまり世の中は「情報発信(アウトプット)」をやってなんぼ、の世界に益々なりつつあるのです。

 

とはいえ、経営者の場合、「情報発信(アウトプット)」だけに専念できるわけではありません。そこに全力を注ぎこめるユーチューバーのようなライフスタイルをとるわけにもいきません。とはいえ、それでも「情報発信(アウトプット)」の必要性はかなり高まっています。どうしたらいいでしょうか。

 

経営者の場合、彼らと違うのは、あらかじめ発信すべきコンテンツは用意されているということです。

それは、自分の事業に関する知見、専門性或いは独自のキャリアといったものであり、こういったビジネス系のコンテンツを発信すべきです。ですので、そこを無理矢理用意する必要はありません。

また、発信のペースは、ゆっくりでもいいので長く継続するということです。

 

それから、経営者の「情報発信(アウトプット)」が、素人のそれと決定的に違うのは、従来のマスメディアへの横展開を狙うというところにあります。

当初はブログやコラム、或いは動画といったパーソナルメディア的な出発でもいいのですが、こういったコンテンツがある程度蓄積されてきたら、それを材料にしてラジオ、テレビ、新聞などに出演或いは掲載といった横展開を狙っていくのです。

 

これは一個人のユーチューバーなどにはあり得ないパターンですし、実際彼らがそこを狙っても難しいのではないでしょうか。有名人や芸能人は、もともとメディアには露出していますので、パーソナルメディアへの進出はこの逆パターンということになります。経営者の場合、パーソナルメディアからマスメディアへの道筋を自分で作り上げていく、ということを目指すのです。

 

当たり前の話ですが、これは事業を推進していく中で戦略的に行なうことであり、若いユーチューバーのように「目立ちたい」といった目的とは明らかに異なる着地点を想定するものです。パーソナルメディアでうまく基礎を作ってしまえば、マスメディアへの参入のチャンスは広がります。

 

ネットの世界を駆使したパーソナルメディアが相当力をつけてきた時代とはいえ、年配の人を中心にまだマスメディアの影響力を無視するわけにはいきません。販売促進といった事業へのフィードバックを考えた場合、この両方に「情報発信(アウトプット)」を展開していくのは戦略上是非とも実現したいところです。

 

それにはまず経営者が「情報発信(アウトプット)」に向き合うということが大切です。

派手な滑り出しである必要は全くありませんので、経営者はとにかくできることから始めてみてください。