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連載コラム MCコラム第97話 存在感を際立たせる社長の「情報発信」―サバイバルゲームに生き残るには・・―

 

 

 

私は、専門職(コンサルタント及び職会計人)として、地方で多くのクライアントさんを抱えて仕事をしています。その立場で、地方のビジネス環境を俯瞰して見ますと、ある種絶望的な気持ちにならざるを得ません。

過疎化高齢化が進み、人口減少は留まるところを知らないからです。

 

残念ながら、地方において多くの企業が、繁栄を享受しながら生き残っていくことは難しいと言えましょう。そんな現実の中、起業サポートの専門家である我々はどうやってお客さん企業を励まし、発展成長するように導いていけばいいのでしょうか。

 

それは「このサバイバルゲームに必ず生き残ってくださいよ。」ということに尽きます。

サバイバルゲームというのは、ゲームに参加した者が互いにつぶし合い、最後に勝者一人だけが残るといったゲームです。地方の企業が互いにつぶし合う訳ではありませんが、周りの同業者が減り続ける中で、自分だけはどうしても生き残らなければなりません。

 

何故ならば、どんなに過疎化が進んだ地域であろうとも、一つの業種が0になることはあり得ない、というよりもそうなってはいけないからです。

ある業種が地域に全く無くなってしまったら、生活は不便この上ないことになります。

ただ、頑張って粘っていれば、そうなる前に、生き残ったところに客は集中しますので、なんとかやっていけるのです。

 

例えば、ガソリンスタンド、土木建築業、自動車修理業、地元スーパー、卸売業などは昔地方にもかなりの企業数がありました。今これらの企業は、急速にその数を減らしています。しかも、現在残っている企業も、ほぼ例外なくその売上や利益の確保において、苦しい経営を強いられているのです。

 

しかし、これらいずれの企業も地元から全くなくなってしまったら不便この上ないものばかりです。昔のように、数多くあったこれらの企業のすべてが共存共栄することはもはや不可能ですが、努力の末に生き残った企業には、地元の顧客が集中することになります。そうなれば、ある程度儲かる事業として息を吹き返すことはあり得ない話ではないのです。

 

それでは、生き残り組として我が社が今後も継続していくためにはどうすればいいのでしょうか。

商材が良い、サービスが良い、売り方が良い、社長の方針が良い、従業員の士気が高い、等々いろいろな要因は考えられるでしょうが、私はその一つに「存在感」を加えていただきたいのです。

 

というのは、過疎化によって企業数が淘汰されるということは、一つの業種の地元における密度がスカスカになってくることを示します。その中で、我が社がこれまでと変わらないくらい顧客を獲得しようとすれば、必然的にこれまでよりやや広い商圏が必要となります。

 

その、広がった商圏内の顧客にとって、生き残った企業は必要欠くべからざるものになるのです。つまり、地域に我が社しか生き残っていないとなれば、これまでより遠くからでもお客さんは訪ね当ててくることになるのです。

 

さてそうなったとき、効き目が出てくるのが「存在感」です。

これまでより広いエリアに、我が社の存在を知らしめなければならないので、これまで以上に対外的な情報発信活動が必要になります。そして、そんなことを意識して情報発信などやっている企業は、特に地方の場合、皆無に近い状況ですので、そのことに取り組んだだけで、かなりの存在感を示せることになるのです。

 

過疎化高齢化の進む地方においては、企業にとって商圏や動線は広がらざるを得ません。

そうやって、スカスカになっていく地方において、我が社の顧客人口をカバーしていくのです。その際に、これまで接点のなかった新規顧客に注目してもらうには、他社以上に情報発信をし、存在を示し続けるしかないことになります。

 

地方における企業の生き残り作戦は、さながら「サバイバルゲーム」の様相を呈してきています。

度胸のある者、腹の座った者、粘り切った者が生き残るのです。

そのためには、厳しい経営環境の中でも、早々と諦めることなく、覚悟を決めて情報を発信し続けて、これまでより広いエリアの顧客を獲得していくしかありません。

 

情報を発信していく方法は、これまで述べてきたとおりです。最低限HP(ホームページ)は準備し、SNSなどの媒体を通じてできる範囲の情報を発信し続けます。我が社の特長や得意分野、商材、サービス状況、トピックス、何でもいいので、ここに存在していることをアピールし続ける。そうすれば、様々な業者が減り続けてきた地方の経済事情の中で、存在感を際立たせることができます。

 

情報発信の方法論のレベルが上がってくれば、ただ地方で生き残っている、といったレベル以上の存在感を示すことも可能になります。

しかし、まずはその前に、地方における我が社の存在、それを強烈にプレゼンテーションすることから始めましょう。