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連載コラム MCコラム第21話 メディアを通じて何を発信するのか―物語(ストーリー)は企業の財産―  Ⅱ

 

かくいう私も、父とは随分ぶつかりました

父は、それまで自分のやり方で、ある程度の成功を収めていました。

尚且つ、地方におけるほかの産業がかなり廃れて行っている中で、まだ一定の事業性は保っていましたので、父は自分のやり方を変える必要性など微塵も感じていなかったのです。

私は、それまでの父のやり方を否定するつもりはさらさらなかったのですが、そのままの延長で未来へ向かってやって行けるとも思えませんでした。

いろいろと考えながら、新しい機軸を次々と打ち出す私と「これまでの、俺のやり方のどこが悪いんだ!」と思う父とはしばしばぶつかったのです。

そこの親子喧嘩の場面だけ思い出すのは、私もごめんこうむりたい気分です。

しかし、あれは経営方針のぶつかり合いだったんだ、と思えば、今進行している事業にとってもそれなりに意義のある通過点だったといえるのです。

これはほかのどの事業にも当てはまることです。

老舗企業が、昔からの伝統的な事業を続けていたとしても、常に革新は必要です。

しかし多くの場合、先代が後継者が打ち出す革新性を、全面的に理解し受け入れることは難しいといえましょう。

それは厳密にいえば、マインド(精神)の問題というよりも、人間の脳の構造の問題かもしれません。

まあ、それはともかくとして、その親子ゲンカのときに交わした言葉、ぶっつけ合ったいろいろな思いというのは、経営の転換点という意味では、振り返って整理してみるのは意味のあることだと思います。

そのことを、今現在社長が行なっている事業の形成過程にどのように位置づけるか、ということです。

そこを深く考察してみれば、それは一つのストーリーとして、外へ向かって伝えるべき内容のものになるのです。

このように、これまで経営を巡って起こった様々なエピソードを、現在進行中の事業に投影させてみるという作業を行なってみて下さい。

そうすれば、親子の対立一つもただの内輪喧嘩ではなく、発信すべき情報として第3者に伝えるべき内容に昇華させることができます。

このほかにも

「今まで身の回りであれこれと起こって経験した話の中身が、そんな意味のあることなのだろうか?」

という疑問には、今後いろいろな形でお伝えしていきたいと思います。