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連載コラム MCコラム第39話 バーチャルとリアルの間を埋めるもの ―従来のメディアの役割を見直してみる―  Ⅰ

 

 

ネット販売が当たり前になりつつある現在、リアルな世界にリアルな店舗を持ち、何かしらの物品を取り扱ってきた企業が、インターネットによる流通の世界に踏み出すのはごく自然な流れといえます。

 

ところが、ネットビジネスがこれほど発達してきた状況において、逆の現象も出てきました。

ネット販売を続けていたメーカーなどが、もともとそんなに考えてもいなかった店舗を構えてみようか、という動きです。

リアルな店舗→ネット販売開始、という流れから

ネット販売→リアルな店舗建設、という流れです。

 

もともと店舗など必要としていなかった製造業が何故リアルな店舗を持とうとするのでしょうか。・・・それは、ネット販売(=バーチャル世界)の背景にある実態としてのビジネスを補完し、担保するものだからです。

ネット販売上のシステムはきちんと構築されており、ビジュアル的にも内容についても様々な情報がネット上にちゃんとアップされていて問題ないものの、何か物足りない、何か突き詰めたところのリアリティーに欠ける、完璧にはイメージしきれない、部分があるのではないでしょうか。

この「最終的に今一つ詰め切れていない状況」に対してリアルな店舗を持つことは「なんか物足りなかった最後の内堀」を埋めることになります。

 

この「最後の内堀」というのは、ある種の「安心感」といってもいいかも知れません。

現実に存在するんだ、という実感とでも言いましょうか。

ネット上だけではなく、そこに行けば実際に手に取ることも購入することも可能であるという安心感は、お金を払う側にとって無意識下における結構重要な動機なのです。

 

更に、販売する側にとってもリアルな店舗によるリアルな接客、お客さんの生の声、生の対応といったものを現実に体験することもまた重要です。

この経験やここから発せられる情報が、これまでになかった画面の厚み、雰囲気といったものをネット上に醸し出すのではないでしょうか。

 

つづく