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連載コラム MCコラム第247話 サバイバルゲームを生き残るには―「その後」にやるべきことは決まっている―  

 

 

私がコンサルティング以外の事業として運営している会計事務所の方に、先日、ある若い経営者がご夫婦で相談に来られました。

相談の内容は「これまで、2代目として、土木関係の仕事を個人事業としてやってきたのだが、近年、急に受注が増えてきて売上も伸びてきたので、そろそろ「法人化」を考えたほうがいいだろうか。」というものでした。

 

私が、東京以外の仕事場としているこの会計事務所のある地方は、もう数十年来の過疎化高齢化が進み、今回のように「業績が伸びてきた」というお話は、珍しい方の部類に入ります。何故、今回相談に来られた若い経営者の事業は、急に伸びることになったのでしょうか。

 

ご相談に答える前に、私は「現在、同業他社の動向はどうですか? 御社と同じように、業績が伸びているところはありますか?」と聞いてみました。

すると彼の答えは「業界に従事する人間の平均年齢が高いので、後継者のいない経営者の中には、最近、廃業する人が増えて、同業者はだんだん少なくなっています。」ということでした。

予想していた通りの答えだったので、私は「やはり」と納得がいったのです。

 

日本の地方の場合、どこもほぼ万遍なく過疎化高齢化が進んでいます。

かつて、良いとされていた業界も総体的に業績が落ちて、地方における商売や事業というものは、後継者に譲っていくほど魅力的な仕事ではなくなりました。大きな流れとしては、倒産よりも廃業がはるかに多く、事業所が減少していくスピードは、人口の減少のそれを上回っています。

 

こういった流れの中で、ほとんどの事業所はひたすら業績を落とすばかりでしたが、近年、冒頭にあげたように、サバイバルゲームに生き残った少数者に顧客が集中するといった現象が起こり始めています。

とはいえ、全体的に厳しいことに変わりはありません。こういった流れも、まだそれほど大きなものとは言えず、このチャンスをしっかりとつかめるか否かは、その後の取り組みいかんということになります。さて、このような環境下においてやるべきことというのは、どういったものになるでしょうか。

 

まず言えるのは、今回のようなケースは、なにか特別な営業努力をしていたわけではなく、予想外に業績が伸びた、というものです。つまり、もっと小規模な事業で推移していくと考えていたのに、思ったよりも仕事が増え、売上も大きくなったということになります。

こういったケースの場合、今回相談に来られたように「法人化」といった、内部体制の整備ということが必要になります。

 

「法人化」のメリットは、所得の分散による節税効果、といったような税理士的観点からの説明もできますが、ここではコンサルタントとして経営的観点からの考察をしてみたいと思います。両者の観点には微妙なところで、そのニュアンスに異なる点があるのです。

 

まず、何といっても「法人化」によって、対外的なイメージがよくなるということです。

通常、個人事業或いは個人商店では大手の取引先は、なかなか相手にしてくれません。それは、仕入先にしても売上先にしても同様です。入口においても出口においても、社会的信用というものは、やはり「会社」という存在があって初めて成立するのです。

というよりは、信用を成立させるための「前提条件」といっていいでしょう。

 

次に、事業を拡大しながら、やがて優秀な人材の確保したい、という時期が訪れたときに、リクルートにおける、応募者の抱くイメージや信用度が全く違います。

今の若い世代は、福利厚生面など、職場における社会保障に関してはかなり敏感です。個人事業レベルでは、こういった面が整備されていないのではないか、という危惧を抱きますし、実際充実していないケースが多いことも事実です。そういった疑念を払拭するためにも「法人」という形を作っておくことは、事業を長く継続させていく上で、重要な要素になるのです。

 

さて、法人化するメリットや必要性といったものは、他にもいろいろありますが、先述のサバイバルゲームに生き残った場合に、特に気をつけておくべきことというのはあるのでしょうか。これまでは取り組んでいなかったけれども、何か新たにやっておくべきこと、というのはあるのでしょうか。

 

私は、やるべき大きな一つの課題は、「法人化」という形を作ると同時に、「情報発信(アウトプット)」の仕組みを構築し、それを始めることだと考えています。

これは当初、社長個人がそれを始めるだけのことですが、ここは怠りなくチャレンジして欲しいと思います。

 

というのは、地域経済がサバイバルゲーム的な動きの結果、自分の事業が生き残ったとしたら、新たに獲得する顧客はそれまでほかの業者の顧客だったことになります。先方にとってこちらは未知の業者ですので、今後つき合っていくにあたって、一抹の不安感を抱えているかも知れません。そんな相手に対して、その不安感を払拭するためにも、積極的な「情報発信(アウトプット)」を行なっていることは欠かせないのです。

 

法人化を機会に、例えばHP(ホームページ)を持っていなかったならば、それを早急に作る。また、既に持っていたならば、その内容を充実したものに作り直して、社長の情報発信がやりやすいようにセッティングする、といった取り組みが大事になります。こういった一連の取り組みを通じて、サバイバルゲームのような今の状況を本当に打破することができるのです。

 

偶然転がり込んだラッキーな状況に甘んじることなく、さらなる高みに果敢にチャレンジしていくことが、本当に生き残っていくためには大事な要素なのです。その一つの試みとして、これまでやってこなかった「情報発信(アウトプット)」には、是非積極的に挑戦してみてください。