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連載コラム MCコラム第80話 インプットだけでは済まない社長の立場―いくら勉強してもアウトプットしなければ意味がない―

 

 

 

以前、お客さんにこんなことを言われたことがあります。

あれは確か、自動車修理業の社長でした。

「先生、知ってるかね。我々の業界は全国でウン十万社、それに対する顧客の数は推定ウン百万人、この客の数が年を追うごとにどんどん減っている。我々の業界が厳しいのは当たり前だ。これからもっと厳しくなる。それが現実なんだ。」

これに対して私は

「そうですか。で、それはどこでお聞きになったんですか?」

と聞き返します。

そうすると社長は

「先日、我々の業界で招待したコンサルタントの先生がそう言っていた。」

と言います。

「そうですか。それで、その先生は、これからどうすればいい、とおっしゃっていたのですか?」

すると、途端に社長が口ごもります。

「とにかく、昔みたいに待っていればお客さんがどんどん来た時代とは違うのだから、気を引き締めて頑張るしかないんだ、と言っていた。」

私は

「は? それだけですか? 具体的にどうすればいい、とはおっしゃらなかったんですか?」

「と、とにかく昔みたいにはいかないんだ。大変な時代なんだ。と言っていたな。」

このやり取りをお聞きになっていて皆さんどう感じるでしょう。「呆れたコンサルタントだ!」と思うでしょうか。まあ、思いますよね。私も当然そう思いますが、こんな話は地方では結構多いのです。

 

人口減少の激しい地方においては、どの業界も経営が厳しく、それを統計的に指摘するのは簡単です。この状況を、いかにも難しい分析をしたかのような言い回しで、事業者の不安を煽るのは、正直言ってそれほど難しいことではないのかも知れません。こんな指摘くらいだったら、全国どの業界でも共通して言えるからです。

 

この問題の本質は、いかなる産業においても事業経営が苦しいという事実は、統計的にさほど難しい証明ではないにもかかわらず、その打開策は個別バラバラでしか成し得ない、ということなのです。

つまり、この状況の打開策については、統計数字を説明するときのように、全体共通の方法論として一律に語るのは難しいのです。

事実、そんな方法論はないからです。

 

世の中が売り手市場でなくなった現在、苦境を脱出する手立ては個別、独自性を発揮するしかありません。

横並び、つまり他人(ひと)と同じことをやっていたのでは、買い手から見て差がつかないからです。買い手は同じものであれば安い方に流れます。

経済全体が上り坂の時代は、横並び、他者の真似をしてもそこそこうまくいった頃もありました。しかし、現在のように経済縮小時代には、他者の真似をしていては常に後れを取るばかりなのです。

 

とはいえ、こんな時代でも経営者が共通してやるべきことがあります。それは、私がいつも申し上げている「経営者の情報発信」なのです。

この理屈は極めてシンプルです。独自性を発揮しなければならない時代なのですから、その独自性を一刻も早く、しかもできるだけ広く知らしめる必要があります。何故ならば「独自性」はまさにその字のごとく独自のものなのですから、当初誰も知らないのは当たり前だからです。こちらから相当頑張って知らしめなければ、誰も知る由もありません。

 

ここで申し上げたいのは、統計的でマクロな知識などを勉強するのは、一向にかまわないのですが、そこで止まってしまっては全く意味がないということです。経営者は自ら常にその先を考えなければ、事業が好転することなど絶対にあり得ません。

そして、考えたことはどんどんアウトプットすることです。「独自性」と先述しましたが、本当に独自性があるのかどうかは、世に問うてみなければわかりません。メディアにしろSNSにしろ、今は双方向性が可能です。学習するだけではなく、その成果を小出しでもいいのでアウトプットしてみて下さい。そうすれば、せっかくの学習が、事業を好転させるための成果につながるかどうかが検証できるはずです。

 

アウトプットはそれができる人だけがやればいい、できない人は、それはそれで仕方がない、という時代ではありません。

アウトプット=情報発信は、企業の必須の課題です。

もしそれが苦手でよくわからないというのならば、他者の力を借りてでもチャレンジしてください。