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連載コラム MCコラム第207話 アフターコロナはシビアに企業価値が問われる―トップは価格ではなく価値を判断基準に―

 

商材やサービスには必ずその対価というものがあります

対価(プライス、価格、値段と言ってもいい)に対しては、経営者の皆さんがそれぞれの価値判断基準を持っているために、同じ商材やサービスでも人によってその捉え方は様々です。それでは、私の専門である税務やコンサルティングといった「サービス商品」について、それを支払う側である中小企業の経営者はどう考えるのでしょうか。このことに関する分析を通じて、これからの時代(アフターコロナ)、経営者に必要な資質や姿勢について考えていきたいと思います。

私は、モノを扱っているわけではなく、コンサルティングや税務の専門性といったいわばノウハウやソフトを提供するビジネスを生業(なりわい)にしていますので、その対価についてはいろいろな考え方の経営者がいることに気づかされます。それを分類すると概ね次のような段階に分けられます。

1,ほかに提供している平均的なサービス以下のレベルでいいから、とにかく安くしてくれ。
2,ほかに提供している平均的なサービス程度でいいから、できるだけ安くしてくれ。
3,きちんとしたサービスを、うちには安く提供してくれ。
4,ちゃんとお金は払うから、うちにはきちんとしたサービスを提供してくれ。
5,ちゃんとお金は払うから、うちには特別なサービスを提供してくれ。
6,特別なサービスを、うちには安く提供してくれ。

以上、いろいろなケースについて書きましたが、私のビジネスにおいては、顧客からの上記のような要望を経験してきました。

さて、この6段階の分類を見ていますと、3番の「3,きちんとしたサービスを、うちには安く提供してくれ。」や6番の「6,特別なサービスをうちには安く提供してくれ。」という厚かましい要求は論外(地縁血縁をベースとする地方の場合、こういう経営者も結構いたりするのですが・・・)としても、とにかく6項目中「安くして欲しい」という要求が4項目あります。

つまり、多くの経営者が基本的には、提供されるサービスの内容よりも、価格重視である、ということが見て取れるのです。

専門性やノウハウといったサービス系の商品、或いはソフトを提供している立場としては、こういった価値判断がまだ多数派ということを見るにつけ、忸怩たる思いをさせられます。私は、自分が提供しているビジネスに関して、不当に高い価格をつけているとは思っていませんので、価格のことしか頭にない経営者を見ていると情けなくなりますし、がっかりせざるを得ません。

さて、ここからが大事な話になるのですが、アフターコロナにおいては、どんなビジネス環境が待っているのでしょうか。

私の予想では、上記のような価格のことしか頭にないような経営者は淘汰されていくだろう、ということなのです。

もちろん、こういう厳しい世の中ですから、経営者がコストに敏感になるのは当然ですし、またそうあるべきです。また、対価を払う最高責任者としての経営者が、こちらが提供するサービス商品の内容やレベルをシビアに判定するのは当たり前のことでもあります。

問題は、そういった判定を下す際に、ただ安くすればいい、という浅薄な判断基準しか持てないのかということなのです。

もっとちゃんと考えた上で判断できる準備や体制があるかどうかということです。

残念ながら、今回の新型コロナウイルス危機によって、経営ガバナンスや財務体質の弱い企業は淘汰されると思います。また、今後消費そのものが冷え込む局面においては、現代的な経営感覚を持っているかどうかが鋭く問われていくでしょう。

旧来の感覚しか持たない経営者や古い体質の企業は退場を余儀なくされるのです。

もともとそういった傾向はあったのですが、アフターコロナにおいて、その流れは加速するものと思われます。

つまり、対内的には企業内システムのデジタル化といった合理化の推進、対外的には科学的な根拠に基づくマーケティング力の収得、といった課題を克服した企業のみが生き残っていけるのです。

ただこういった課題は、中小企業の場合、その企業内部の力だけでは収得や克服は難しいでしょう。これらの課題に対して、強力にサポートできるのは、外部のブレーンということになります。そういったポジションの一役を担うのが、地元金融機関であり担当会計事務所でありテーマに沿った専門性を持つコンサルタントなのです。銀行は融資業務を通じて収益を確保することができますが、会計事務所やコンサルタントは、サービスや提供ノウハウに応じたフィーが支払われなければ成立しません。

アフターコロナにおけるシビアなビジネス環境に適応できる戦略的ノウハウを獲得するために、このような専門性に対するフィーをきちんと支払うだけのビジネス感覚を持てるか否かが、今後の企業活動における成長発展の成否を決定するのです。

こういった状況において、冒頭で分類したような専門性に対する対価について、「安ければいい」という旧ビジネス感覚では到底対処できなくなることは火を見るより明らかです。

さて、アフターコロナにおいて、企業の存在そのものがどういった道筋をたどることになるのでしょうか。

すべてではないにしても、私はこうなると考えます。

それは、より必要になる企業と、よりいらなくなる企業に大きく分別されていく、ということです。

今回の危機を何とか乗り切って、会社を維持存続できたとしても、残ったすべての企業が、また以前のポジションに戻って、そのまま丸く収まるとは考えられません。

今回の新型コロナウイルス危機からアフターコロナにかけて、新しいことへのチャレンジに関して、冒頭の分類の
4,ちゃんとお金は払うから、うちにはきちんとしたサービスを提供してくれ。
5,ちゃんとお金は払うから、うちには特別なサービスを提供してくれ。
といったマインドで、向き合うような企業は、世の中にとってより必要な存在となって発展存続できるでしょう。

しかしながら
1,ほかに提供している平均的なサービス以下のレベルでいいから、とにかく安くしてくれ。
2,ほかに提供している平均的なサービス程度でいいから、できるだけ安くしてくれ。
3,きちんとしたサービスを、うちには安く提供してくれ。
といったマインドの企業は、世間からやがていらなくなる存在として淘汰されると思います。

アフターコロナにおいては、シビアに企業の価値が判定される時代に突入していくでしょう。

つまり、存在価値のない企業は退場させられるのです。

そんな時代には、きちんと自社の持つ付加価値を世間に対して常時発信し、実際、真に役に立てる企業としての存在感を発揮できるか否かが問われてくるのです。