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連載コラム MCコラム第214話 アフターコロナ、ますます重要性を増す経営者発「情報発信」の意味―何故、社員のそれとは一線を画すのか―

 

私の専門とするコンサルティングは、経営者自らによる「情報発信(アウトプット)」を推奨するものです。

経営者が実践する「情報発信(アウトプット)」というのは、一般社員のそれとどこが最も違うのでしょうか。

それは社員の「情報発信(アウトプット)」というのは基本的にに向かって行なうものであり、経営者のそれはに向かって行なうものであるという点にあります。

アフターコロナにおいては、この外に向かっての「情報発信(アウトプット)」という行為が、ますますその重要性を増していくと考えられます。

普通、社員がなにかしら自分をアピールするとすれば、それは社内に向かってのものであり、そこでほぼ完結します。例えば、社内プレゼンであったり、上司への報告であったり、部下への指示命令であったりと様々です。

「いやいや、営業活動や顧客へのプレゼンは内へ向かってするものではなく、外に向かってするものだろう。」という反論も受けそうですが、それとて、社内で了解を得た範囲のものでなければならないはずです。社外プレゼンもその前に必ず社内プレゼンを通過したものであり、営業活動も会社の看板を背負っているという制約の中で可能なのです。したがって、社員の行なう「情報発信(アウトプット)」というのは、すべからく企業内で完結させる、という基本的な制約を受けることになります。また、そうでなければ守秘義務や企業規程といったものは守れません。

これに対して、経営者の行なう「情報発信(アウトプット)」というのは全く異質のものになります。

ここにおいては、経営者は自らの判断で自らの思うところを発信して構いません。

制約の範囲は、基本自己判断で決めていいのです。そういう意味では、その判断の領域が広くなるだけに、責任の範囲も大きくなります。しかし、それくらいの領域をカバーできるだけの発信力や判断力がなければ経営者の行なう「情報発信(アウトプット)」は意味がありません。

そういった自由度が許されているからこそ、経営者の「情報発信(アウトプット)」は面白く興味深いといえるのです。

さてここで、社員の話に戻りますが、例えば彼らがブログやコラムにおいて仕事上で知り得た内容やそれに対する感想などを、自由に外に発信することは通常許されません。現代人である彼らの場合、メールやLINEなどを通じて頻繁に報告や情報交換しているでしょうし、これらの情報媒体をひとつの道具として駆使していると思います。しかしながら、こういった行為は、私が申し上げている「情報発信(アウトプット)」には当たりません。経営者のそれとは全く別物なのです。何故ならば、そこでは特に個人の感想や主張を述べることは許されていないからです。

これに対して、経営者の行なう「情報発信(アウトプット)」というのは、逆に自身の思うところや明確な主張といったものがなければ、面白みもなく意味もないことになります。

経営者は自らがインプットした情報や職務上で体得した知識などを吟味し咀嚼して、そこになんらかの意味を付加した上で、様々な媒体を駆使して「情報発信(アウトプット)」していく必要があるのです。

とはいえ、経営者といえども、守秘義務があり職務上で知り得たことで発信していい情報の範囲は限られているはずです。そこでは経営者の場合、高度な自己判断というものが求められるのです。また、外に向かってのものだけに、社員の社内プレゼンなどとは違った意味で、世間のシビアな判定も待っていると考えなければなりません。

私の場合、業界や地域の経営者に対する苦言や批判といったことも、「情報発信(アウトプット)」の大事なテーマとして位置付けています。こういったテーマで持論を展開し、それを発信する場合、気をつけていることがあります。

それは、なにかしら批判に値するようなことがあっても、それを特定の対象や個人というものに対して向けるのではなく、ほかの類似の事例や経験と合わせて、普遍性のある意見としてまとめ、発信するということです。

これくらいの「中和」作業を加えなければ、個人攻撃や特定の対象に対するピンポイントの批判ということになってしまいますので、少し気をつける必要があるのです。

こう書いてくると、経営者の行なう「情報発信(アウトプット)」というものが、社員のそれとは違い、それほど安易なものではないということがお分かりいただけると思います。とはいえ、かなりハードルが高いのでは、と考える必要もありません。

何故ならば、経営者という立場は、社員のそれとは違って、インプットに関しても格段にその量と質が異なっているからです。

そもそも経営者というポジションを考えれば、外に向かって「情報発信(アウトプット)」するためのネタやソースにはこと欠かないはずです。

逆にそれだけのインプット情報があるにもかかわらず「情報発信(アウトプット)」しないというのはもったいない話なのです。

経営者が行なう「情報発信(アウトプット)」にある程度経験を積み、習熟度が増してきたならば、社員を巻き込んでいく、という段階に入っていっても構いません。HP(ホームページ)に、なにかしらのコーナーを設けて、自社企業の様々な情報発信を社員に担当させるのは、ひとつの役割としては大いに推奨できることです。既定の情報であれば、むしろ経営者が行なうより、社員に役割として与えた方が効率的です。社員に発信させる場合、そういった特定の枠を設けてあげて、役割として担当させる方が「情報発信(アウトプット)」の手法としては向いていることになります。

このように、「情報発信(アウトプット)」というのは、その習熟度の段階において、様々なバリエーションがあり、経営者と社員が組むことで、より豊かなものに仕上げていくことは可能です。

また、そうすればシナジー効果で、よりその内容はレベルの高いものになるはずです。

当初、「情報発信(アウトプット)」の役割は、社員は内に向かってのものであり、経営者は外に向かってのもの、と分けて考えていたとしても、そのレベルを上げていくことによって、外に向かって大きな意味を持つものとして両者で育て上げることができるのです。

その効果は多額の広告宣伝費に匹敵すると言っていいでしょう。

そういった意味でも全社で取り組む「情報発信(アウトプット)」の世界の実現を目指してみてください。