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連載コラム MCコラム第126話 すべての取り組みの前に社長がまずやるべきこと―商売の原点から考える「情報発信」とは?―

ところで、商売(ビジネスと呼んでもいいですが・・・)の原点の原点は、なんだと思いますか。

商品?サービス?お金?人材?信用?・・・・もちろんそういったものは必要ですが、「原点の原点」ということになれば、少し違う表現になります。

 

「原点の原点」はなんといっても「私はここで商売をしている。」という「存在そのもの」なのではないでしょうか。

「私が商売をしている。」という事実がなければなにも始まらないわけです。

ものすごく当たり前のことを言っているので「何を今さら馬鹿なことを言っているんだ!」と憤慨される方もいるかも知れませんが、果たしてこのことがちゃんと理解されているでしょうか?

 

私の所属しているコンサルタントのウエブサイトにも実に様々なコンサルティングをなさる人たちがいます。彼らのコンサルティングは例外なく、すでに動いている商売(ビジネス)の、商品開発であったり、営業戦略であったり、人材育成計画であったり、モチベーションアップの取り組みであったりと様々です。

 

すでに動いているビジネスへの様々なアドバイス・・・・もともとコンサルティングとはこういうものであり、それで成り立っている世界なのです。これまた「そんなことは当たり前じゃないか!」と怒られそうです。

ただ、私は

「もう一つ手前の『原点』部分のコンサルティングがあってもいいじゃないか。」

と思っているのです。

 

それは先述の「存在そのもの」をもっと知らせたらどうか?という考え方です。先に紹介した様々なコンサルティングも、我が社が存在して初めて成り立つものです。我が社が存在している、ということが広く認知されていなければそもそも成り立たない話なのです。

 

その「存在する」という事実をもっとアピールしようよ、というのが私のコンサルティングの中身になります。

「存在」が知られていなければ、その後のいかなるコンサルティングも意味がないからです。

さらに、どうせ知られるのであれば、より広く、より的確に、よりいい形で知られた方がいいに決まっています。

また、そのための方法論、発信の仕方ということも大切な要素になってきます。

 

ところが、私がこれまで見てきた中小企業経営の世界では、特に地方のそれにおいてはこの部分が極端に弱いのです。己の存在そのものや特徴、何を扱っているのか、何ができるのか、何が得意なのか、また逆に何ができないのか、何が不得意なのか・・・こういった大事な内容が他者にほとんど伝わっていません。長い間、地縁血縁関係の濃い地域社会の中で商売を成立させてきた地方においては、こちらの存在については、周りは既に知っているものであり、わざわざ知らせる必要など誰も感じなかったからです。

 

ところがその地縁血縁社会が、過疎化と高齢化という2重の逆風によって崩壊しつつあります。また、契約や客観的な数字を重視する、現代的なビジネス感覚からもだんだん合わなくなってきています。

 

しかも、それこそが「良き関係」とされてきた地縁血縁というのは、ビジネスにおいてもともとそれほど強固なものではなかったとも考えられます。地方におけるビジネス上のトラブルは、狭い地域社会の中で地縁血縁の濃い関係から生じることも少なくありません。現代的なビジネスの構築において、いつまでも地縁血縁を主軸にしておくことはもはや得策ではないのです。

 

「昔から知っている仲だから・・・」という、地縁血縁に依拠したモデルから一刻も早く抜け出して、新しいビジネスモデルの構築が急務です。

それには地縁血縁から脱却したより大きなマーケットの獲得が必須条件となります。

ところが、その広がったマーケットには、当たり前のことですが、まだ自社はほとんど知られていません。

 

したがって、前述のように自社の「存在」を積極的にアピールする必要があるのです。

この理屈は極めて当然のことを言っているに過ぎないのですが、特に地方においてはこのことが驚くほど理解されていません。

 

地方の場合、企業が取り組んでいる自社の存在を示す媒体は、看板と電話帳広告、チラシくらいなのではないでしょうか。(私は地方においては、看板もちゃんとしたものを出していない会社が多いことに驚いています。) 

中堅企業であれば、テレビやラジオのローカル局でのCMを打つこともあるでしょうが、中小企業がそういったメディアを使うことはほとんどありません。また、ローカル紙であっても、新聞広告はかなり高額ですので、普通には手が出ないのです。

 

ところが、現代では「情報発信」を取り巻く環境が大きく変化してきました。メディアに変わるものとして現代社会では、SNSなどインターネットを介した「情報発信」が可能になってきたのです。

にもかかわらず、こういった媒体を戦略的なレベルにまで落とし込んで取り組んでいる企業は極めて少数派です。

どちらかといえば、年配の経営者にはネット社会をネガティブに捉えている人の方が多いくらいです。こういった現状ですので、地方における中小企業の「情報発信」は一向に進まないのです。

 

マーケットとの接点を積極的に求めていくこちらからの「情報発信」がなければ、高度情報化社会における我が社の存在はほとんど認識されないにもかかわらず、それを実践している企業はまだ非常に少ないのが現状です。

古典的な課題のようで、案外実践されていないこの「情報発信」という企業行動。

企業が抱える様々な他の課題とは完全に別枠で、存在を示すための「情報発信」は、もっと積極的に行なわれるべきなのです。